人間追い詰められると、こみいった、というか、奇をてらったものではなくて、定番の、ベタなものを求めるようで、ここのところはそういう演奏ばかり聴いている。今日の一枚もそんな感じ。フンメルのピアノコンチェルト集で、今から10年くらい前に入手したものだと思う。不勉強にしてイギリス室内菅以外は指揮者もピアニストも知らない演奏家たちだが、破綻のない手堅い演奏。録音も音作りが濃密で、厚みのある響きが美しく、安心して聴ける、というか、聴きながら音に身を任せているうちに気持ちが落ち着いていくのがわかる。疲れ切って帰ってきた寒い日に暖かい部屋でこういう音楽に対峙できる幸せ。世の中はなんだか慌ただしいし、自分の周りもちっとも落ち着かないけれど、これを聴いている間だけでもしばし心の平穏を。

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