特別給付金で買おうとした、いやもう注文はしているのだが、ネットオーディオプレーヤーはまだ届かない。噂によると、バックオーダー抱えすぎて4ヶ月待ちらしい。増産しても需要は限られている縮小均衡のオーディオ業界だからこの程度のことでは新たな対応はしないんだろうし、待つしかないんだろうけれど、複雑な心境ではある。住人を待ち続けてぽっかり空いているラックのスペースをぼんやり眺めながら聴いている今夜のCDは、ピレシュのモーツァルト。最近なんだかブレンデルばっかりだったからね。自分の中の勝手なピレシュの音楽像は、ものすごくヴィヴィッドで心情に訴えかけてくるんだけど、突然予想もしない場所にルバートがかかったり、テンポが変わったり、結構ハラハラドキドキするっていうイメージだが、1989年録音のこのアルバムは、極々真っ当な、といったら巨匠に失礼なんだろうか、落ち着いて音楽に没頭できるモーツァルト。きらびやかな、というのとも少し違う明るさを持ったタッチと、かっちりとした音楽の作りが美しい。はじめは夕飯を兼ねた晩酌のお供として気軽に聞き出したのだが、いつの間にかじっくり腰を落ち着けて聴き入っている自分に気がつく。録音が古いせいかやや小さめな音像だが、しっかりとした空間表現の中に身を置いて音楽の中に浸ることのできるこの時間は、最近すっかり暇人ではなくなってしまった自分にとっては、貴重な瞬間。

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